2013-03-16

その日私は3本の鍵を持っていた


そのマンションの3階に私は住んでいた。
2ヶ月ぐらい前までのこと。
少し前に用があってそのマンションの近くを通りがかったのでしばらく立ち止まって眺めた。
割合大きな通り沿い。
白い壁に強化硝子のドアがあるエントランス。
1階部分は朝から夕暮れ時まで営業している花屋さんになっている。
18時を過ぎると網のようなシャッターで花屋さんは閉じられる。
そのときちょうど18時目前だったのでまさにシャッターが下りている瞬間だった。
シャッターを下ろしているのは私がかつて住んでいたときにいた店員ではなかった。
だが見慣れない顔でもなかった。
全く別の場所で私は彼女を見たことがあった。
見たことがあったどころではない。
彼女と私はこのマンションに住むよりもずっと前に…
シャッターが下りる。
網のようなシャッターの向こうから彼女が驚き、そして微笑んだ。
私は…



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