2013-02-20

“エスカレーターをご利用の際は、 顔や手などを出さず、 黄色い線の内側に、 お入りください。”



その日の朝は始まりから愉快だった。
雨が降っていたし部屋の中は10年物の冷凍庫の奥みたいにしんとして凍りついていたけどベッドから起き上がるのが苦ではなかった。

いつもは目を覚ましてから起き上がるまでに地球が回っているのを確認することが可能ってぐらいの時間がかかるのにその日はすんなり目覚めてすんなり起き上がってすぐに冷たい水で顔を洗った。
私にだってそんな気分の日もあるんだ。

仕事に出かけて働いている間ほとんど放置している携帯電話に見知らぬ番号から2件の着信がある日なんて最高だと思わない?
ひとつの番号にはなんとなく心覚えがあった。
避けては通れない道で関わらざるを得ないヒトタチからの好意的なお知らせ。

もうひとつの番号にはまったくピンと来ない。
11桁の番号の頭3つが見たことも無い町の市外局番だってことに気づくのにも時間がかかったし番号をそのままインターネットで検索するとロシア語のサイトが沢山ヒットした。

私は知らない番号から電話があって嫌な予感がして且つ頭に余裕があるときはまずインターネットで検索する。
何の予感も無いときはなぜだか少し面白いことを期待してすぐにかけなおす。

知らない番号からの着信を未知の世界からの交信か何かと勘違いしてしまう傾向にあるんだよ。
勘違いって言ったけど勘違いではないとも思ってる。
実はきっとこの電話は未知の世界からの交信にほかならないんだよってね。

それでロシア語のサイトばかり見ていてもしょうがないのでもうかけなおしてしまったほうが早いと判断したんだ。
未知の世界からの交信だとして予期せぬ大変な事態になったとしてもこちらにも手段はある。
終話ボタンを押せばこっちのものでしょう?

発信するとすぐに向こう岸につながった。
1回しか呼び出し音はなっていないのでよっぽど優秀な電話対応者なのだろうと思ったら案の定F県にある私立の女子校の職員室の先生が出た。
職員室からの交信だったらしい。
そこは幼稚園から全部エスカレーター式の学校。

“エスカレーターをご利用の際は、 顔や手などを出さず、 黄色い線の内側に、 お入りください。”




お昼ごろに電話がかかってきていたのでかけなおした旨を伝えるとその人なんていったと思う?
担任の先生は誰ですか?
だって。
笑っちゃったよ。

学生じゃないよと伝えたら即答で間違い電話ですねと答えた。
電話の向こう側にいる彼は(男だった)あらゆる可能性を一瞬で捨て去ったのさ。
とても鮮やかだった。
地球は青かった。





その後のことは知ってのとおりさ。
実はもうひとつオモシロイコトがあったんだけど今日はこの辺にしておくよ。
一日のうちにオモシロイコトがいくつかある日なんてそう無いからね。
またの機会があったら教えてあげる。
いいから今日は寝なって。
雪や雨が降ってもめげるなよ。

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