見上げるということ
人を呼んでいた。
大きな塔の上にいる人の名前を呼んでいた。
おーい!
答えは返ってきても、その人は姿を現さない。
答えのない日は、その人はそこにいないか、いないふりをしている。
塔に登れるようになった。
登っていってその部屋のドアをノックした。
もしもし。いますか。
答えは返ってきても、その人は姿を現さない。
答えのない日は、その人はそこにいないか、いないふりをしている。
ある日には
少し怒ったような雰囲気をたたえて、その人を守る人が出てくる。
あの方はこれより別の用があり北の地に向かう。
本日は帰ってくれ。
そして別のドアをノックした。
テリトリーは増え、叩くドア、呼ぶ名前は増える。
おーい。
だれか。
だれか。
プールを準備して、水遊びをする妖精がいた。
水着がないのでフェンスにもたれて眺めていた。
塔の主は電話をかけ、私は塔に帰る。
そしてなんてことをしてくれたんだと怒られる。
一体何をしたのか、自分でもよくわからない。
わからないけど、謝る。
ごめんなさい。
ずっとそうだった。
わからないけど、謝る。
そうしているうちに何もわからなくなった。
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