はい。講堂ね。
そのような部屋にいた。先生が立ってる位置から上のほうを見上げてた。
講堂に人はいた?
いた。大学生を目指している高校生は終えた人たちがいた。
なぜそう判断したの。
私の横に有名な予備校講師がいた。
あぁ。
テストを返却していた。それで、学生…仮に学生と呼びます。
学生が前に一人ずつ降りてきてテストを返してもらってから席に戻ってるのを眺めていた。
あなたは何もせず。
何もせず。学生たちは皆無表情だったよ。
ふむ。
長い机じゃないですか。講堂。ひとつひとつ机と椅子があるわけではなくて。
そういうタイプの講堂だったわけだ。
そう。その長い机のひとつを左から右につつつーっと歩いていった猫がいた。
猫。
そう。猫。
どんな。
基本的に黒で、顔の半分と左の後ろ足が白かった。
ふむ。
有名な予備校講師とは一言も会話を交わさず顔も見ずに猫のあとをつけてった。
その夢の中で予備校講師の顔を1度でもみたの。
見てない。でも分かっていた。夢だからね。
ゆめだから。
そう。
講堂を出て、5月みたいな木漏れ日のさす並木道を猫のあとから歩いていった。
5月だったんだね。
5月、のような、木漏れ日だった。そして猫は突然塀に登ってこっちを見た。
塀があったの。
並木道の終わりに塀があった。
それは日本だったの。
わからない。とにかく行動があって並木道があって、猫を追いかけた。
うん。
猫はこっちを見つめて私もそっちを見つめた。そして猫は喋った。
なんていったの。
“何か用?君ぼくの声聞こえるんでしょ。珍しい人だね。”
それから。
“ついてくるのは勝手だけど、ぼくは猫じゃないよ。”
猫なのに?
猫なのに。
それから?
それから猫は白い小さな小屋のようなところに入っていった。
小屋。
小屋のようなところ。ポーチから正面のドアにはいっていった。
ポーチのある小屋だった。
そう。
小屋の中は白い小さなベッドがあった。そのベッドの上に白い布団があって、白い布団の上に猫はいた。
うん。
猫の横に座った。そしたら外から黒くて長い髪の白いワンピースを着た女の人が入ってきた。
だれ。
その女の人は入ってくるなり私に向かって話しかけた。
あなたに。
そう。“また勝手に出かけたわね?その姿で出かけるのはやめてっていったじゃない。”
ふん?
私は答えた。“だって姉さん、小屋はつまらないし外に出てもこの姿なら怪しまれないよ。”
ちょっと意味が分からない。
その女の人が入ってきたときには私は猫の声になっていたし心境も多分その猫になってた。
見た目も猫に変わってたの。
わからない。
だけど女の人が入ってきてから私は、少なくとも中身は、そのとき追いかけていた猫になっていたし
女の人も私をその猫だとみなしているようだった。
ふむ。それで。
それで、終わり。
あぁ。
うん。
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