2013-07-13

稲光

日の沈んだばかりの夜の始まりの空。
ピカピカと光って雲の輪郭を見せてる。
立ち止まって空を見上げてたんだ。
だけど道行く人は皆私を見て、不思議そうで。

音がしなかった。
空はただ不規則に光を発するだけで。
大きな国道を走るトラックの音と
自転車のチェーンが空回りするカラカラという音と
生ぬるい風の音だけが聞こえた。

反対側の空には薄い月があった。
白でも黄色でもなくオレンジの。
そっちも見上げて眺めてたんだ。
だけど道行く人は皆私を見て、不思議そうで。


だけどその日私の家には雨が降らなかった。
雷も落ちなかった。
あまり不思議じゃなかったけど。

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