2013-04-25

考察


夢の中でずっと夢を見ていた人の夢の壁が崩れ落ちてしまって。
理由はわからないけどどこか絶対的な輝きの中で悲しみや幸せを眺めてすべて上のほうへ上のほうへ風船にして飛ばしていたんだけど。

壁の内側の輝きはかつても触れられないものではあったのだけど今はもう“本当に”そこには存在しないものとわかってしまって。
ただどうすることもできずにそのまま冷たい石みたいになってしまった。

その壁は壊されるべくして壊されたのかもしれない。
あるいはその壁は壊されるまでもなく壊れていたのかもしれない。




影には2つの種類があると思っていた。
物体が光に照らされてその反対がわに作る黒い影。
光が照らされている側につくる透明な影。

黒い影をじっとみてそれから透明な影を見つけた。
そしてその透明な影と自分の耳の後ろの方で感じる声がいつでも会話していた。

壁が壊れてしまってからはどんなにじっと目を凝らしても透明な影が見えなくなってしまった。
耳の後ろの方の声もなくなってしまった。
あるのはうつろな太陽の光と色あせた物体とうつろな影だけだった。
すべてがそれぞれの重みを持っていて混ざり合った空気が均一にただよっていた。
それは本当の世界と呼ばれているようだった。




途方にくれているともいえたし最初からわかっていたとも思っていた。
だけどピエロはピエロのままではいられなかったし
思い出にするまいとしていた記憶は今は思い出になっているし
なにより手が足が体が地面に引っ張られて動くことができない。

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