2021-03-01

漂流する世界の片隅で 3 “私の場合”










人はみんなそれぞれ宇宙を飼っている


ときにその宇宙に溺れたり
迷子になったりしながら


広がりゆく宇宙は
誰かの宇宙と交差して
変化を受け入れ
その温度を変える


そのことをきちんと把握し
私の宇宙を愛して
手懐けて
自由自在に触れ合いたい
と思えるようになった


それからは
こんがらがっていた
大きな結び目も
固く小さな結び目も
思いがけず1本の糸に
ほどけて
とろけた


私の宇宙が
私の宇宙であることを自覚したので
あふれるエーテルを理解できるようになり
世界が喜びを取り戻した


私の宇宙を介して
他の宇宙に好奇心を抱き
私の宇宙をフィルターにして
世界の美しさを再確認している






とても便利で賢い
我々の世界


この世界にはたくさんの
法則がある


自分の宇宙のことなど忘れて
法則に振り回されていた私は
実感の伴わない成功や
はりぼての威厳を追うことに
必死になっていた


そして見失ってしまった私の宇宙が
私を眠りにつかせて
再起動を図ったのが
この10年間だったのではないかな
と、思っている


戻ったのではなく
進んでみた


失敗したのではなく
経験してみた


そして
宇宙はたくさんの要素を含み
くしゃくしゃの自分に暖かい太陽の光が注ぐ


宇宙が世界と抵抗なく重なって
私は宇宙を心から愛せるようになった


世界にあふれる法則の存在より前に
まず私の宇宙があって
話はなんだってそれからだった


たぶん宇宙は
急速に成長しているので
もとから大きな揺らぎを持ってる


飼い主によって
愛されていない宇宙は
より自分勝手で不安定で


愛してなんていないのに
法則をなぞってみても
飼い主のくしゃみだけで
簡単に壊れてしまう


ゆっくり時間をかけて
宇宙を愛する方法を学んだ私は
宇宙を旅する準備ができたらしい


壊れたお城の残骸や
グレーになった絵の具も
全部宇宙の中にあって
それも含めて愛している






どんな苦しみや痛みも
この美しい世界にかかれば
宇宙のどこかで愛に変わる


仮初の姿ではなく
地中に根を張った木々が歌う


私の愛する宇宙へ、ようこそ。





(漂流する世界の片隅で 3)

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